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ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測によって見つかるようになった、初期宇宙の謎の天体「LRD」(Little Red Dot、リトル・レッド・ドット、小さな赤い点)。その正体に関する新たな研究成果を、テキサス大学オースティン校のVasily Kokorev氏を筆頭とする研究チームが発表しました。 研究チームはLRDの正体について、高密度のガスに分厚く覆われて急速に成長している超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)であると結論づけています。研究者の間では、こうした状態は「ブラックホール星(Black Hole Star)」と呼ばれています。研究チームの成果をまとめた論文は学術誌「The Astrophysical Journal」に掲載されています。 初期宇宙の謎めいた天体「リトル・レッド・ドット」 2022年にウェッブ宇宙望遠鏡が科学観測を開始して間もなく、ビッグバンから数億年後の
「ブラックホール」に落ちたモノが持つ「情報(量子情報)」はどうなってしまうのか? この疑問を深掘りしていくと、因果律が破綻しかねない「ブラックホール情報パラドックス」という物理学の未解決問題へと行きついてしまい、現在はその解決方法が模索されています。 スロバキア科学アカデミーのRichard Pinčák氏などの研究チームは、この宇宙がとても小さなスケールで「ねじれた7次元G2多様体の構造」を持つと仮定すると、ブラックホールは極小の残骸として永久に存在できるという考えを提唱しました。この考えに基づけば、ブラックホールは落ちてきたモノの情報を、ねじれた7次元の時空構造の中に永久に保持することができます。また、物質に質量を与える理論に自然な解決策を提供するなど、派生的な影響もあります。 ブラックホール情報パラドックスとは何かまずは本題に入る前に、この研究の重要な前提である「ブラックホール情報パ
私たちの住む天の川銀河をはじめ、宇宙にあるほとんどの銀河の中心には、太陽の数百万倍から数十億倍もの質量を持つ「超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)」が存在すると考えられています。 こうした巨大なブラックホールと、それを取り囲む銀河は、果たしてどちらが先に誕生したのでしょうか。従来は、まず銀河が形成されてから、その中で寿命を終えた巨大な星が崩壊して恒星質量ブラックホールとなり、周囲の物質を飲み込んだりブラックホールどうしの合体を繰り返したりして、時間をかけて成長していくと考えられてきました。 しかし、ケンブリッジ大学のIgnas Juodžbalis氏やRoberto Maiolino氏らの研究チームは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測データをもとに、この定説を揺るがす証拠を発見したとする研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文は、学術誌「Nature」や「王立天
重力がとても強い天体「ブラックホール」の内部は、外側とは異なる時空構造をしていると考えられています。このため、ブラックホールの外側の宇宙で組み立てられた現在の物理学の理論が、ブラックホールの内部でも使えるかどうか、その範囲ははっきりとしていません。 米子工業高等専門学校の姉川尊徳氏と日本大学の玉岡幸太郎氏の研究チームは、ブラックホールの内部での「情報(量子情報)」がどのようになっているのかについて、「ホログラフィック原理(ホログラフィー原理)」という考えを適用し、理論的な探求を行いました。 その結果、ブラックホールの内部は究極にもつれた情報の集まり「絶対最大量子もつれ状態(AME状態; Absolutely Maximally Entangled States)」であるという結果を導きました。 今回の研究結果は、ブラックホール内部の量子力学的な性質について、ブラックホールの研究でよく使われ
ホーム科学「クォーク」は本当に素粒子か? 0.00000000000000000001mスケールまでは内部構造がないことを確認 私たちの身近にある普通の物質は、最小単位まで分解していくと「クォーク」という粒子に行きつきます。クォークは内部構造を持たず、これ以上分解できない素粒子であると考えられていますが、内部構造がある可能性も残されています。 CERN(欧州原子核研究機構)が建設した加速器「LHC(大型ハドロン衝突型加速器)」で実験を行っている国際研究チーム「CMSコラボレーション」は、過去の実験データを分析し、クォークの内部構造の兆候を調べました。 結果としては、クォークに内部構造がある兆候を見つけることはできず、クォークは引き続き素粒子の地位を維持することが分かりました。仮に、今回の実験で見逃されるような内部構造があるとしても、その大きさは0.00000000000000000001m
NASA(アメリカ航空宇宙局)は日本時間2026年4月2日に、有人月ミッション「Artemis II(アルテミスII)」の大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」の打ち上げを実施しました。1日目に実施される地球周回軌道上での作業を前に、有人宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」を搭載したSLSロケットの上段(2段目)とコアステージ(1段目)の分離が行われたことを、NASAが報告しています。 打ち上げに関する情報は以下の通りです。 打ち上げ情報:SLS(Artemis II)ロケット:SLS(スペース・ローンチ・システム)Block 1打ち上げ日時:日本時間 2026年4月2日7時35分発射場:ケネディ宇宙センター39B射点(アメリカ)ペイロード:Orion宇宙船「Integrity(インテグリティ)」、CubeSat 4機Artemis IIについてArtemis II
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2026年3月24日に開催された第61回宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会にて、「H3」ロケット8号機打ち上げ失敗の原因究明について、最新の状況を報告しました。 これまでの大まかな経緯準天頂衛星システム(QZSS)「みちびき」5号機を搭載したH3ロケット8号機は、種子島宇宙センターから日本時間2025年12月22日10時51分30秒に打ち上げられました。 しかし、1段目と2段目の分離後に2回予定されていた2段目エンジン燃焼のうち、第2回燃焼が早期に停止してしまったことで、打ち上げは失敗しました。打ち上げまでの経緯や打ち上げ当日の模様については、以下の記事をご参照下さい。 【更新】H3ロケット8号機打ち上げ失敗 「みちびき」5号機を予定の軌道へ投入できず(2025年12月22日)【▲ 準天頂衛星システム「みちびき」5号機を搭載して打ち上げられた「H3」ロケ
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2026年2月25日に開催された第60回宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会にて、「H3」ロケット8号機打ち上げ失敗の原因究明について、最新の状況を報告しました。 これまでの大まかな経緯準天頂衛星システム(QZSS)「みちびき」5号機を搭載したH3ロケット8号機は、種子島宇宙センターから日本時間2025年12月22日10時51分30秒に打ち上げられました。 しかし、1段目と2段目の分離後に2回予定されていた2段目エンジン燃焼のうち、第2回燃焼が早期に停止してしまったことで、打ち上げは失敗しました。打ち上げまでの経緯や打ち上げ当日の模様については、以下の記事をご参照下さい。 【更新】H3ロケット8号機打ち上げ失敗 「みちびき」5号機を予定の軌道へ投入できず(2025年12月22日)【▲ 準天頂衛星システム「みちびき」5号機を搭載して打ち上げられた「H3」ロケ
NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年2月6日付で、NASAの火星探査車「Curiosity(キュリオシティ)」が火星の岩石サンプルから発見した有機化合物について、生物活動が関与しない非生物学的なプロセスだけではその存在量を十分に説明できないとする新しい研究成果を紹介しました。 今回の成果は、古代の火星において生命の構成要素となり得る複雑な有機物が大量に存在していた可能性を示唆しており、過去の生命の存在を支持する重要な手がかりとなります。これらの有機分子の真の起源を解明するために、将来の火星サンプルリターンミッションなどによる詳細な分析が待たれます。 【▲ NASAの火星探査車「Curiosity(キュリオシティ)」が2018年6月15日に砂嵐が発生中のゲール・クレーターで撮影したセルフィー(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)】泥岩のサンプルから見つかった長鎖
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2026年1月20日に開催された第59回宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会にて、「H3」ロケット8号機打ち上げ失敗の原因究明について、最新の状況を報告しました。 準天頂衛星システム(QZSS)「みちびき」5号機を搭載したH3ロケット8号機は、種子島宇宙センターから日本時間2025年12月22日10時51分30秒に打ち上げられました。 しかし、1段目と2段目の分離後に2回予定されていた2段目エンジン燃焼のうち、第2回燃焼が早期に停止してしまったことで、打ち上げは失敗しました。打ち上げまでの経緯や打ち上げ当日の模様については、以下の記事をご参照下さい。 【更新】H3ロケット8号機打ち上げ失敗 「みちびき」5号機を予定の軌道へ投入できず(2025年12月22日)【▲ 準天頂衛星システム「みちびき」5号機を搭載して打ち上げられた「H3」ロケット8号機。JAXAの
炭素質小惑星「ベンヌ(ベヌー)」には、生命の構成要素となる様々な種類の有機分子や、太陽系誕生以前の物質など、非常に多様な物質が含まれていると考えられています。これらの物質について詳しく分析することは、地球やヒトなどの存在がなぜあるのかという根源的な疑問の答えに繋がるかもしれません。 2025年12月初旬、ベンヌのサンプルに含まれる多種多様な物質に関する報告が、全部で4本の論文で発表されました。内訳は「糖」「トリプトファン」「ゴム状物質」「プレソーラー粒子」であり、それぞれ独自に発見の重要性があります。 本記事では前編として、糖とトリプトファンに関する報告について解説します。ゴム状物質とプレソーラー粒子については後編の記事をご覧ください。 “宇宙ゴム” とプレソーラー粒子 【小惑星ベンヌのサンプルから多種多様な物質を発見(後編)】小惑星のサンプルリターンの意義とは【▲ 図1: 小惑星ベンヌの
小惑星は毎日のように、地球の近くをかすめるように通過しています。今まではそのような接近遭遇を観測することは困難でしたが、観測技術の向上により、年々観測数が増えています。 2025年10月30日(※1)、「2025 UC11」という直径1mにも満たない小惑星が地球の近くを通過しました。最接近時には上空わずか230kmの場所を通過しており、衝突したものを除けば、観測史上最も地球に接近した小惑星となります。衝突の約7時間前に発見されたことや、個別に識別された最小級の天体であるなど、2025 UC11はいくつかの点で記録的な天体となっています。 ※1…本記事では日時を世界時で記述します。日本標準時に直すには時間を9時間進めてください。 【▲ 図1: 地球に最接近した時の2025 UC11の軌道(黄色)。(Credit: Tony Dunn)】小惑星「2025 UC11」の概要2025年10月30日
間接的な証拠をもとに存在すると考えられている、謎に満ちた「暗黒物質(ダークマター)」。 その暗黒物質から放射された電磁波を初めて捉えたかもしれないとする研究成果を、東京大学大学院の戸谷友則教授が発表しました。 あるはずなのに見えない「暗黒物質」私たち人間の身体から、地球や太陽といった天体までを形作る「通常の物質(バリオン)」は、この宇宙を構成するもの全体のうちほんの5%程度でしかないと考えられています。残る95%のうち、約27%は暗黒物質、約68%は宇宙の加速膨張をもたらしているとされる「暗黒エネルギー(ダークエネルギー)」が占めているとみられています。 通常の物質の5倍もあるはずの暗黒物質は、これまで電磁波では直接見ることができず、天体の観測を通じて間接的にその存在が予測されてきました。 たとえば、銀河の回転速度。通常の物質の質量だけで予想される回転速度と比べて、実際の回転速度はかなり速
「プレアデス星団」と言えば、冬の夜空に輝く6個の恒星の集団として知られており、日本では「すばる(昴)」とも呼ばれています。現在では肉眼で見えないものも含め、約1000個の恒星が属する星団であることが分かっています。 ノースカロライナ大学チャペルヒル校のAndrew W. Boyle氏などの研究チームは今回、いずれも宇宙望遠鏡である「ガイア」と「TESS」の観測データを分析し、約1億2700万年前にプレアデス星団と同じ場所で誕生し、現在では別々の場所にいる恒星を多数特定しました。Boyle氏らは、合計3091個もの恒星が属し、差し渡し1900光年にもなるこの構造体を「大プレアデス複合体(Greater Pleiades Complex)」と名付けました。 【▲ 図1: 大プレアデス複合体の全ての星が見えたと仮定した場合の夜空。緑色がプレアデス星団の最も明るい7個の恒星、白色が大プレアデス複合
ロケットを宇宙に飛ばすには膨大な推進力が必要であり、その源として専用の燃料と酸化剤が使われます。特にエネルギー源となる燃料は重要であり、体積や重量当たりのエネルギー効率が高い物質であるほど高性能な燃料であることになります。 ニューヨーク州立大学オールバニ校のJoseph T. Doane氏などの研究チームは、固体燃料ロケットで使用される燃料の候補に長年挙げられながら、これまで安定して合成する方法が見つかっていなかった「二ホウ化マンガン」について、純粋なものを安定合成する方法を見つけました。これは固体燃料ロケットの燃料として広く使われているアルミニウム粉末と比べて、体積当たりでは148%もエネルギー効率が良い物質です。 また、これだけエネルギーを蓄えていながら、条件が整わなければ火で直接炙っても燃えないなど、安全性が高いという特徴があります。 「二ホウ化マンガン」は固体燃料ロケットの潜在的な
私たちの宇宙には、重力でのみその存在を知ることができる「暗黒物質(ダークマター)」が満ちていると言われています。その正体は現在でもよく分かっていませんが、宇宙全体に影響を及ぼすだけでなく、天体の性質を変えるようなユニークな性質を持つものさえあるかもしれないと考えられています。 ダラム大学のDjuna Croon氏などの研究チームは、暗黒物質の正体の有力候補の1つである「WIMP(Weakly Interacting Massive Particle / 弱く相互作用する大質量粒子)」と、恒星と惑星の中間的な性質を持つ「褐色矮星」の相互作用に注目してシミュレーションを行いました。その結果、褐色矮星がWIMPを十分に取り込めば、WIMPの対消滅によって輝く、言い換えれば暗黒物質を “燃料” にする「暗黒矮星(Dark Dwarf)」に進化する可能性があることが示されました。 暗黒矮星が私たちの
私たちの宇宙は約138億年前に始まったとされていますが、終わりはあるのでしょうか? あるとすれば、それはいつなのでしょうか? 現在の主流の説では、物質の密度が限りなく薄くなる一方で、宇宙そのものは永遠に膨張し続けるため、宇宙そのものには終わりがないとするシナリオが一般的です。 しかし、ドノスティア国際物理センターのHoang Nhan Luu氏などの研究チームは、最新の観測結果を元に推定した結果、この宇宙の寿命は約333億年であり、今から約195億年後には1点に潰れて終わる「ビッグクランチ」を迎えてしまうとする研究結果を公表しました。 ただし現時点では、将来を悲観するのは早すぎな段階であり、文字通りの杞憂に終わる可能性もあります。この研究の元になった数値に現状では大きな幅があるため、ビッグクランチに至るという結論も決定的なものではないためです。私たちの宇宙の運命がはっきりと分かるのは、まだ
JAXA=宇宙航空研究開発機構は2025年8月22日、新型宇宙ステーション補給機1号機「HTV-X1」を搭載する「H3」ロケット7号機の打ち上げ予定日を発表しました。 発表によると、H3ロケット7号機の打ち上げ予定日時は日本時間2025年10月21日10時58分頃、打ち上げ予備期間は2025年10月22日~2025年11月30日です。 【▲ 先進レーダ衛星「だいち4号」を搭載して2024年7月1日に種子島宇宙センターから打ち上げられた「H3」ロケット3号機(Credit: JAXA)】【▲ H3ロケットの機体形態。5号機までに飛行したのは左から2番目の「H3-22S」で、HTV-X1を搭載する7号機は右端の「H3-24L」に近い「H3-24W」(フェアリングが異なる)を採用している(Credit: JAXA)】H3ロケット7号機の機体形態は「H3-24W」(1段目エンジン「LE-9」が2基
太陽系に最も近い恒星系として知られる約4.3光年先の三重連星「ケンタウルス座アルファ星(アルファ・ケンタウリ)」。 ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測を行ったところ、この星で新たに木星サイズの太陽系外惑星が直接撮像で発見されたかもしれない……そんな研究成果が、学術誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されました。 【▲ ケンタウルス座アルファ星A(左上)を公転している可能性がある太陽系外惑星候補(右下)の想像図(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Robert L. Hurt (Caltech/IPAC))】サイズは木星程度・質量は地球の100倍前後と推定惑星候補が検出されたのは、三重連星を構成する星のひとつである、太陽に似た恒星「ケンタウルス座アルファ星A」です。 NASA/JPL=アメリカ航空宇宙局のジ
こちらは、「ハッブル宇宙望遠鏡(HST)」が観測した楕円銀河「NGC 6098」(右上)と「NGC 6099」(左下)。 ヘルクレス座の方向、約4億5300万光年先にある銀河です。 【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した楕円銀河「NGC 6098」(右上)と「NGC 6099」(左下)。NGC 6099の右側にある紫色はチャンドラX線宇宙望遠鏡の観測データを重ねたもの(Credit: Science: NASA, ESA, CXC, Yi-Chi Chang (National Tsing Hua University); Image Processing: Joseph DePasquale (STScI))】NGC 6099の右側を見ると、紫色に着色された円形の部分があるのがわかりますか? これは、NASA=アメリカ航空宇宙局のX線宇宙望遠鏡「チャンドラ(Chandra)」の観測
オリオン座の1等星「ベテルギウス(オリオン座α(アルファ)星)」は、約6年周期で明るさが変わる変光星であることが知られています。2024年11月に、この長い変光周期の原因について、未知の伴星がベテルギウスの周囲を公転しているからではないかとする説が提唱されました。 アメリカ航空宇宙局(NASA)エイムズ研究センターのSteve B. Howell氏などの研究チームは、ジェミニ北望遠鏡に設置された観測装置「アロペケ(‘Alopeke)」による観測で、ベテルギウスのすぐ近くに暗い天体を見つけたことを報告しました。いくつかの観点から、この天体は他の無関係な天体ではなく、ベテルギウスの周囲を公転する伴星であるとHowell氏らは考えています。またHowell氏らは、この伴星の名前について、「彼女の腕輪」を意味する「シワルハ(سوارها)」という固有名を提案しています(※1)。 ※1…国際音声記号
小惑星「リュウグウ」のサンプルは、失われやすい初期太陽系の情報を含んでいることが期待されています。これまでの研究から、リュウグウの元となった天体は太陽系の外側で生成し、50℃を超えるような高温には晒されなかったと考えられてきました。 しかし広島大学の宮原正明氏などの研究チームは、リュウグウのサンプルを分析中に、「ジャーフイッシャー鉱(Djerfisherite)」(※1)という鉱物を発見しました。この鉱物は350℃以上の高温環境で生成されることが想定されるため、リュウグウのサンプルから見つかることは全くの予想外でした。その意外さについて宮原氏は「北極の氷の中から熱帯植物の種を見つけたようなもの」と表現しています。 ※1…Djerfisheriteという名前は、鉱物学者ダニエル・ジェロム・フィッシャー(Daniel Jerome Fisher)に対する献名です。このためこの鉱物の読み方は、そ
太陽系の中にある天体は、全てが太陽系出身であるとは限りません。中には太陽系の外から中へと突入し、再び太陽系の外へと逃げ出す天体もあり、「恒星間天体(Interstellar object)」と呼ばれます。恒星間天体は多数存在すると予想される一方、滅多に発見されることはなく、確実なものはこれまでに2例しか知られていませんでした。 【▲ 図1: 画面中央部を左から右へとゆっくり移動する白い点がATLAS彗星(3I)。(Credit: Deep Random Survey)】現地時間2025年7月2日(現地時間)、新たな恒星間天体の候補である「A11pl3Z」の発見が報告されました。まだきちんとした名前すら付けられていない段階から、この発見は天文学者の注目を集め、わずか1日足らずで正式な名前「3I/ATLAS」という名前がつきました。もう少し馴染みのある呼び方をすれば「ATLAS彗星(アトラス彗
宇宙には文字通り、桁違いのエネルギーを放出する現象が発生します。例えば典型的な超新星爆発は、太陽が約100億年の一生をかけて放出するエネルギーを一瞬で放出します。しかし、この超新星爆発すらも上回る爆発的なエネルギー放出現象もあります。 ハワイ大学天文学研究所のJason T. Hinkle氏などの研究チームは、「ガイア」宇宙望遠鏡など複数の望遠鏡で取得された観測データを分析した結果、非常に大規模なエネルギー放出現象を2つ見つけました。過去の研究で発見済みであるもう1つの天文現象と合わせ、Hinkle氏らはこの3つの天文現象が新たな分類に属することを提案し、「ENT(Extreme Nuclear Transient)」と名付けました。現時点では定まった日本語訳が無いため、本記事ではENTを「銀河核極限突発現象」と呼ぶことにします。 プレスリリースで「ビッグバン以来最大の爆発(※1)」とたと
私たちが住む天の川銀河とアンドロメダ銀河(M31)は接近し続けていて、数十億年後に衝突・合体すると予想されてきました。 ところが、フィンランドの研究者らのチームが最近発表した研究成果によれば、この確率はもっと低いかもしれません。 【▲ 約250万光年先の銀河「アンドロメダ銀河(M31)」(Credit: KPNO/NOIRLab/NSF/AURA/Adam Block)】100億年以内に直接衝突する確率は“2分の1”?研究チームはハッブル宇宙望遠鏡とガイア宇宙望遠鏡の観測データを使用して、100億年後までを予想する10万回のシミュレーションを実施。 その結果、天の川銀河とアンドロメダ銀河が今後100億年以内に直接衝突する確率は、約50%だと結論付けられました。 シミュレーションの半数では、約200キロパーセク(約65万光年)以下の距離を隔ててすれ違った後、再び接近して最終的に合体。40~5
日本の株式会社ispaceは2025年6月6日未明、同社の月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション2「SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON」について、月着陸機「RESILIENCE(レジリエンス)」の月面着陸を試みました。 RESILIENCEの着陸予定時刻は日本時間2025年6月6日4時17分でしたが、ispaceはその後、予定時刻をすぎてもRESILIENCEとの通信が確立できていないことをライブ配信を通じて発表しました。 RESILIENCEにはispace EUROPEが開発した小型月面探査車「TENACIOUS(テネシアス)」などが搭載されていました。 着陸確認は困難 ミッション2終了と判断同日9時頃から開催された報告会にて、ispaceの袴田武史CEOは、RESILIENCEとの通信回復が見込めず、月面着陸の確認が困難であると判断するとともに、ミッ
ホーム天文公転周期2.4万年、推定直径700kmの準惑星候補「2017 OF201」を発見 プラネット・ナインを否定する可能性 太陽系の外縁部には、多数の「太陽系外縁天体(TNO)」があると推定されていますが、あまりにも距離が離れているため、大半が未発見のままだと考えられています。その正確な数や分布を知ることは、太陽系の形成と進化を探る上で重要です。 プリンストン高等研究所の程思浩氏、およびプリンストン大学の李嘉轩氏と杨晴氏の研究チームは、セロ・トロロ汎米天文台の「ダークエネルギーカメラ(DECam)」の観測画像の分析により、公転周期が約2万4000年にも達する新たな太陽系外縁天体「2017 OF201」を発見したと報告しました(※1)。2017 OF201の推定直径は700kmであるため、準惑星に分類される可能性があります。 ※1…本記事での2017 OF201にまつわる数値は、プレプリ
燃料を使わずに飛行? 未来型ロケットの実証に成功燃料を使わずに地上からのレーザー光で飛行する、“燃料不要ロケット”。 次世代の宇宙開発を支えるかもしれない技術の実証に世界で初めて成功したとする研究成果を、東北大学と大阪公立大学の研究者からなるチームが発表しました。 反射されたレーザー光が空気をプラズマ化して推進力を得る仕組み研究チームが開発したのは、レーザー光を利用する推進システム。発表や論文では「レーザー推進(laser propulsion)」と呼ばれています。 地上から照射されたパルス状の高出力レーザーを、ロケットに取り付けられた曲面鏡が反射・集光し、空気をプラズマ化。発生した衝撃波が機体を押し上げることで、推進力を得る仕組みです。 従来の化学燃料ロケットでは欠かせない大量の燃料を必要としないため、コストを大幅に抑えられ、宇宙空間への安価なアクセスを実現する可能性があります。 安定飛
地球から最も隔絶された環境とも言える宇宙ステーションですが、その中にも微生物が無数に生息しています。これは、地球上のあらゆる場所に生物が生息し、これらに付着したものが意図せず持ち込まれるためです。 【▲ 図1: 神舟16号の乗組員が撮影した中国宇宙ステーション「天宮」(Credit: 中国載人航天工程弁公室)】航天神舟生物科技集団有限公司(SBG)のJunxia Yuan氏などの研究チームは、中国宇宙ステーション「天宮」で採集されたサンプルを分析した結果、ある細菌(真正細菌)が新種であることを提案し、天宮で発見されたことを意味する「ニアリア・ティアンゴンゲンシス(Niallia tiangongensis)」という学名を提案しました。 ニアリア・ティアンゴンゲンシス自体は発見されたばかりであり、今のところ地球では見つかっていません。その生態のいくつかは、宇宙ステーションの厳しい環境に適応し
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