朝日新聞朝刊に掲載されている広告特集「高齢社会と住まい」は、老人ホームについての基本的な心構えや、施設の選び方・体験入居の際のポイントなどの具体的ノウハウまで、分かりやすく解説しています。Reライフ.netの読者のみなさまにも有識者や施設担当者、入居者や著名人のインタビューなどを通じて、老後の住まいについて考えるきっかけとしてもらえれば幸いです。
今回はNPO法人「老いの工学研究所」理事長の川口雅裕さんに、人生後半の住まいについてお話をうかがいました。
NPO法人「老いの工学研究所」理事長・川口雅裕さん
自立生活の維持が幸せな健康長寿の鍵
高齢期に向き合うためにまずやっておきたいのが、住まいの見直しです。自宅のちょっとした段差でのつまずきが、ケガや転倒事故につながることは珍しいことではありません。急激な温度変化によるヒートショックや防犯・防災についての対策も必要ですが、家そのものだけではなく立地や周辺環境も重要なポイントです。食料や日用品の買い物ができる店、役所や金融機関、かかりつけ医などの日常的に利用する施設や、サークルなどの交流の場が自宅から身近な生活圏内にそろっているのが、望ましいでしょう。
食事を作って片付けるなどの何げない家事は、身体も頭も使うので毎日続けることで心身にもいい影響があります。こういった自立生活を「買い物が面倒」という理由で中断してしまわないよう、高齢期には〝高齢者にとって〞便利で、かつ人が集まりやすい環境に身を置くことが大切になります。住まいとその周辺環境は、健康的な状態を長く維持することと密接に関係しているのです。
最近は70代半ばの人でもひと昔前より若いと感じます。厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」で、65歳以上の高齢者がいる世帯は、1986年には44・8%が3世代世帯でした。しかし、24年には6・3%まで減少しています。高齢者だけで暮らす世帯が増え、子や孫に頼らず、自分のことを自分でやるしかない状況に追い込まれた結果、いきいきと自立した高齢者が増えているのではないかと私は考えています。
住み替えを検討するタイミングも早まっています。10年くらい前までは、介護に直面してから住み替えることが一般的でしたが、最近は60代で考え始める人が増えています。元気なうちに住み替えを検討する場合は、自立した生活を維持することを意識してほしいと思います。具体的に検討を始めたら、今の自分の価値観を見つめ直してみましょう。現役時代から変化したところはないか、若い頃に抱いた住まいへの憧れと現在の自分が日常生活に求めるものに違いはないか。住み替えを自分の内面を見直す機会と捉えることが賢明な選択につながります。
気になるシニア向け住宅があったら必ず見学してください。自分らしく自立して暮らせるかどうかがポイント。自分に必要なサービスを必要な時に受けられるような環境がおすすめです。スタッフのあいさつや入居者との関わり方、入居者の様子などから施設の雰囲気や実態を感じ取れるはずです。これからの人生を充実させるために、自分自身ときちんと向き合い、尊重してくれる環境を見つけましょう。(談)
(企画制作:朝日新聞社メディア事業本部)
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